以下の内容は、私個人が自分自身の経験をベースに書いていることで、言語学の専門家でもなんでもないので、ご留意の上、読んでいただけると幸いです。
また語学に限らず、何かを習得するのに正解はないと思っています。私が独学での英語やプログラミング習得の時に経験したように、どんなやり方でも、粘り強く続ければある程度できるようにはなるんだと思います。ただ、私自身ドイツ語をゼロから習得するにあたって「より効率的」なやり方を追求した結果、たどり着いた一つの解がこの投稿内容であり、実際それで英語の時より格段に速く実用的なレベルに到達することができました。
なので「これだけが正解」というわけではなく、「こういう取り組み方もあるのか」という目線で読んでいただければ幸いです。
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さて、ある言語についてネイティブでない場合、語学習得にはいくつかの段階があると思っています。
①その語学の知識ゼロ。単語が一つもわからないレベル(ゼロレベル)。
②単語と簡単な文法は分かる。単語で意思疎通はぎりぎり可能なレベル。(超初級)
③文章での意思疎通が可能になる。知人や友人と日常会話も少しだけできるようになる(初級)
④ある程度長い文章を使って、すこし込み入った意思疎通ができるようになる。(中級)役所や病院、レストランで複雑な内容でない限り困ることは少なくなる。
⑤複雑な構文を使って、高度な抽象概念や時事問題に関する意思疎通ができる。(上級)
⑥ビジネスレベルかそれ以上(超上級)
上記の分け方は個人的な経験に基づいてますが、ヨーロッパ言語共通参照枠というレベル訳でもA1, A2, B1, B2, C1, C2と六段階になっていて、だいたいこんな感じなので、感覚としては悪くないのではないでしょうか。(ちなみに私自身は、現時点で英語は⑥レベル、ドイツ語は④と⑤の間くらいです。)
そして当たり前ですが、それぞれの段階でやるべきことや最適な教材は全然違うわけです。
経験則的にですが、各レベルで必要だと思う学習は今のところ以下のようになりました。
①ゼロレベル:まずは単語とその発音。あと超基礎の文法。
②超初級レベル:単語と発音。単語と短文が通じるようスピーキング練習。
③初級レベル:単語と発音。単語と短文を話して通じる&聞いてわかる練習。
④中級レベル:より高度な単語と構文のバリエーションを、話す&聞く練習
⑤上級レベル:短いニュースや雑誌、会話やテレビドラマから時事ワードや辞書に載っていない生きた単語を学ぶ。それを、話す、書く、聞くで使えるよう練習(特に「話す」)。
⑥超上級レベル:仕事で高度な表現を日々使い、学ぶ。高度かつ複雑なテーマでエッセイなどを書き、添削してもらう。大学の社会人講座等をうける。ニュースや映画など、スクリプトがない媒体でリスニングとその言語での抽象思考を鍛える。
(「単語」「発音」「スピーキング/話す」という点を強調しているのは、それが一番大事だと思うからです。多くの場合、その言語が実用的なレベルで使えないのは語彙不足だと思います。「(伝わる発音で)話せ」て「意味が分かる」単語の数さえ増えれば、多少構文は怪しくても文章はかなり聞き取れるし、書けるし、読めるからです。ちなみに、「単語」には「動詞や名詞の変化形」も含まれます。)
さて、こうしてレベル別に書いてみると、よくある「ある言語を話せるようになるにはどうしたらいい?」という質問への一律の解などないのが伝わるでしょうか。正解は、「あなたが今どのレベルかによって&どのレベルを目指すのかによって違います」だと私は思うのです。
しかし、多くの人はこの質問に対し「〇〇を習得するにはXXの方法がいいよ」というのを嬉々としてアドバイスしてくれます。しかしそのアドバイスはたいてい、その人自身が「ある一定のレベルの時期に取り組んでうまくいった勉強法」でしかないわけで、「今のレベルでは何をどう重点的に勉強するべきか」という大事な視点が抜け落ちていることを、(アドバイスされる側は)頭に入れておく必要があると思います。
例えば、私がドイツ語勉強し始めた当時、多くの人から「ドイツ語のテレビやラジオをたくさん聞くといいよ」とか「子供向けのドイツ語の本を読むといいよ」とかいろいろアドバイスをもらいました。
が、その当時の私はそのアドバイスをまるっと無視しました。なぜなら、それらは中級か上級向けの教材であり、「テレビやラジオを聞いても右から左へ抜けていくだけ」「子供向けの本でも1ページに知ってる単語が前置詞しかない」みたいな超初級か初級の状態だと、時間ばかりがかかって得るものが少ないということを英語学習の試行錯誤から学んでいたからです。
英語学習のときはそんなこと誰も教えてくれなかったので、それこそ誰かが「〇〇の参考書がいい」と言っていれば中身を吟味せずに買って取り組んだし、大学生のころは憧れだけで「English journal」を読んだり、使えるようになったばかりのインターネットでCNNやBBCを見たりしていました(ちんぷんかんぷんでした)。
しかし、自分の目的とレベルにあってない教材や勉強方法は、「教材の内容がまったくわからない」「やってもやっても上達してる気がしない」という挫折感につながり、上達に時間がかかるばかりか、やる気を挫く原因になるということを、このころに学びました。
経験則ですが、上記の①~⑥のレベルで、2つ上のレベルの教材を使ってしまうと、実力と教材のレベルのギャップで学習が嫌になりがちです。(例えば③のレベルの人が⑤のレベルの教材であるニュースやテレビドラマをいきなり使う、など。)
理想は「自分の今のレベルをターゲットにした教材が90~100%程度わかるようになったら次のレベルの教材へ」だと思います。
英語で散々色々な方法を試して失敗(というか時間を無駄に)してきた結果、今自分が取り組むべきレベルの教材を見分ける目安は自分なりに以下のように落ち着きました。
・その教材の3-5割程度の単語や文法はすでに知っている
・リスニング教材の場合、「こういうことを言ってるんだろうな」というぼんやりとした見当はつくが自信はない
・リスニング教材の場合、スクリプトがついているもの(中級以下の学習者には必須!)。スクリプトを読んで「読めばほぼわかるが聴くだけだと怪しい」レベルの教材がいいです。
なので、感覚的には「ちょっとやさしく感じるレベル」を完璧に仕上げてから次に行く、という感じでしょうか。
多少背伸びをして上のレベルの教材で勉強するのも視界が広がって楽しいのも分かるので、時々はいいと思うのですが、あくまでメインの教材は自分のレベルにあったものでやるのが一番早く効果が実感できるのでは、と思っています。
ここまで「何を重点的に学習すべきか」の「what」を書いてきましたが、特にドイツ語の学習で「具体的にどういう教材やツールを使って」「どういう風に学習してきたか」というhowのところを次の投稿でまとめられたらと思っています。